日本と海外の歯科疾患実態調査の国際比較

イントロダクション

日本では 5年ごと(2011年までは6年ごと)に厚生労働省が歯科疾患実態調査を実施し、日本の歯科疾患の有病状況が示されている。3カ国の歯科疾患実態調査の結果と日本の歯科疾患実態調査の調査結果との比較を試みた。実際には対象年齢、評価方法が異なり、単純な比較は困難であるが、諸外国の指標に相当する部分を日本の歯科疾患実態調査から抜粋し比較を行った。
今回比較を行った資料は厚生労働省歯科疾患実態調査(日本、2011年)のほかにドイツ歯科医師研究所の第5回ドイツ口腔保健調査(ドイツ、2013-14年)、ニュージーランド保健省のニュージーランド健康調査(2009年)である。なお、単純比較は難しいがオーストラリア厚生省が2019年に行った調査の結果を示した。

全体の比較

今回の調査で日本、ドイツ、ニュージーランドで共通して比較可能であった項目は無歯顎者と歯の喪失経験者の割合であった。

無歯顎者の割合

無歯顎者の割合の結果を図1に示した。日本では、高齢者での無歯顎者の割合が、ドイツ、ニュージーランドに比較して低い割合を示した。なお、単純比較は、できないが、オーストリアで2009年にオーストラリア厚生省が行った電話調査によると、65-74歳15.1%、75歳以上で、27.9%であった。

歯の喪失経験者の割合

歯の喪失経験者の割合は、35-44歳では、日本が一番低い割合を示した。高齢者の場合には、日本が同様に低い割合を示しているが、わずかな差である。