8020  No.13  2014-1

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8020研究事業公募課題の概要報告

4.まとめ

これまでにも、長期間SPTを継続している患者さ

んにおける歯の喪失が、SPTに応じない患者さんに
比べて少ないことことが報告されています

2~4)

。本

研究においても、SPTを受けている患者さんでは歯
の喪失が少なく、SPTが歯を残すことにとても効果
的であることが示されました。また、本研究では、
長期間SPTを受けている患者さんは、高齢になって
も多数の歯を保有していることが明らかとなり、あ
る程度病状の進行した歯周病を持つ患者さんでも、
しっかりと治療を行い、その後綿密なSPTを実施す
ることにより高齢まで歯を残すことができ、80歳
で20本の歯を残すことを目指した8020運動の目
標を達成できる可能性が示されました

5)

最近公表された平成23年歯科疾患実態調査の概

6)

では、80歳の平均残存歯数と8020達成率

は、それぞれ13.9本および38.3%と推定され、平
成17年の同調査に比べ飛躍的な伸びを示していま
す。しかしながら皮肉なことに、高齢者の保有歯が

増加するに従い高齢者の歯周病罹患率の増加がます
ます顕著になってきています。このことは、今後は
8020達成以上に、残存歯の歯周組織の健康維持が
歯科に課せられた重要な課題であることを意味して
いるのではないでしょうか。

参考文献
1) 歯科疾患実態調査報告解析検討委員会:解説 平成17年歯科疾

患実態調査. 第1版,口腔保健協会,東京,2007.

2)  北村正博ほか:歯周炎患者のメインテナンスにおける

Supportive periodontal therapyの効果. 日歯保存誌,46:
613-618,2003.

3)  Wilson,T.G.Jr., Glover,M.E., Malik,A.K., Schoen,J.A., 

Dorsett,D.: Tooth loss in maintenance patients in a 
private periodontal practice. J.Periodontol., 58:231-
235, 1987.

4)  Nabers,C.L., Stalker,W.H., Esparza,D., Naylor,B., 

Canales,S.: Tooth loss in 1535 treated periodontal 
patients. J.Periodontol., 59:297-300, 1988.

5)  山羽聡子ほか:歯の保存に対するSupportive Periodontal 

Therapyの長期的効果. 日歯保存誌,56:40-47,2013.

6) 平成23年歯科疾患実態調査 http://www.mhlw.go.jp/

toukei/list/dl/62-23-01.pdf

図1 長期SPT患者における喪失歯数の経時的推移

(文献5より改変転載)

図2  長期SPT患者と平成17年歯科疾患実態調査に

おける20歯以上の歯を保有している人の割合

(文

献5より転載)

図3  長期SPT患者の残存歯数の経時的推移と平成17

年歯科疾患実態調査との比較

(文献5より転載)