8020 No.13 2014-1
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トピックス
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く含んでおりますので、十分な説明を行い同意を得
てから必要最小限の撮影をするように心がけましょ
う。
2)局所麻酔の影響
歯科治療時に用いられている局所麻酔薬は無痛分
娩にも用いられており妊娠全周期においてほぼ使用
可能です。2%塩酸リドカインは通常の使用量
(1~5ml)であれば催奇形性が認められたものは
なく、胎児への影響はほとんどありません。局所麻
酔に使用される針は、細く切れが良く、穿刺の際の
疼痛による精神的ストレスもほとんどありません。
もし、針の刺入に恐怖心があるような場合には表面
麻酔を併用することで解消できます。
また、痛みを我慢するストレスの方が胎児にとっ
て悪影響であり、ストレスによる胎盤の血流低下な
どにより、流産や奇形の恐れも考えられます。しかし、
シタネスト(オクタプレシン
®
)に血管収縮薬として
含有されるフェリプレシンには軽度の子宮収縮作用
と分娩促進作用があるため、妊娠後期では使用を避
けた方が良いでしょう。
3)薬の影響
妊婦に対する薬剤投与による胎児への影響は、投
与された薬剤や時期により大きく異なります。抗菌
薬の投与において問題になるのは、薬剤による催奇
形性や胎児毒性です。
服用時期においては妊娠3週までは無影響期で着
床できずに流産してしまうか、完全に修復されて異
常は生じないと考えられています。4~7週は催奇
形性を生じやすく、最も危険な絶対過敏期です。
8~11週は相対過敏期、12~15週は比較過敏期、
図3 歯科エックス線撮影による放射線量
(東京都歯科医師会作成の歯科治療のエックス線撮影の安全性を示すポスターより引用)