8020調査・研究事業

平成13年度8020公募研究報告抄録

報告書名: 高齢者における口臭と口腔内所見との関連
研究者名: 森田 学、兼平 孝、高橋 大郎
所属: 北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座

はじめに

真性口臭の原因の9割は口腔内に存在するといわれており、主なものとして唾液の分泌減少による口腔の自浄作用の低下、歯周病の重症化、舌苔の付着などが挙げられる。これらの原因は、歯の喪失が顕著となる高齢者によく認められる現象であり、口臭もそれに伴って増加すると考えられる。また、義歯の清掃不良を原因とする口臭もある。本研究では、高齢者を対象に、口臭の程度とそれに影響を及ぼすと考えられる口腔内の要因を調査した。

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対象と方法

対象とした被験者は、2001年10月~2002年3月までの期間に、北海道大学歯学部附属病院の予防専門外来および口臭専門外来を受診した65歳以上の患者22名(男11名、女11名)である。
各被験者への診査事項は以下の通りである。

1)口腔内診査  残存歯数、歯周ポケットの平均値と最高値、10分間の刺激唾液流量を診査した。
2)口臭測定

(1)官能検査  熟練した一人の検査者により実施し、検査結果は4段階(0:なし、1:少し口臭がある、2:比較的強い口臭がある、3:強い口臭がある)に分け、1以上を口臭がある者と分類とした。

(2)ハリメーターによる測定  官能検査の結果を知らない別の検査者により、ハリメーターを用いて呼気中の硫黄化合物濃度(ppb)を測定し、100 ppbを越えた者を口臭がある者と判定した。

官能検査とハリメーターのいずれの検査においても口臭があると認められた者を口臭(+)の者とし、口臭(+)群とそれ以外の口臭(-)群との間で、残存歯数、歯周ポケットの平均値と最高値、唾液流量、ハリメーターによる口臭値を比較した。また、それらの指標と口臭値との関係についても調べた。

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結果と考察

対象となった65歳以上の被験者22名のうち、5名が口臭(+)、残りの17名は口臭(-)と判定された。残存歯数、歯周ポケットの平均値と最高値、唾液流量、ハリメーターによる口臭値など、いずれの指標においても口臭(+)群と口臭(-)群との間で統計学的有意差は認められなかったものの、唾液の流量が口臭の原因の1つであることを示唆する結果が得られた。次に、被験者22名における残存歯数、歯周ポケットの平均値と最高値、唾液流量などの指標と口臭値との間に明確な相関は認められなかった。

当初の計画では、これらの指標の中で口臭と密接な関連を示す因子が見つかることが期待されたが、残念ながら見つからなかった。その理由として、次のようなことが考えられる。

1)被験者数の不足 ― 今回の調査では、被験者総数が22名、そのうち口臭(+)と判定されたのがわずかに5名と少なかったことが挙げられる。統計的解析に耐えうるためには、最低でもこの10倍の被験者が必要である

2)客観的な口臭値測定が難しいこと ― 口臭値は一般に変動幅が大きい指標であり、少しの要因によっても大きく変動するため、その個人の口臭値を決定するのが難しい。値の変動につながる要因を解析し、それを極力除去する条件を設定して、客観的な測定方法を確立することが重要である。ガスクロマトグラフィーなどを用いて定量する方法を追加するなど、別の口臭値測定方法を応用することも必要であることが示唆されている。

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