インタビュー10

インタビュー時年齢:44歳(2017年1月23日)

プロフィール

娘が3歳の頃、アメリカ滞在中に上の前歯の間が黒くなっていることに気づいた。歯科医を受診したところ、今なら簡単に治せるといきなり歯茎に麻酔を打たれたが、娘が泣きわめいたのでそこでは治療せず、小児歯科を探して再受診。そこでも治療を勧められたが、麻酔や催眠ガスを使っての治療に納得できず、帰国して結論を出すことにした。夫は歯が丈夫でむし歯がなく、歯科医の意見に従うべきでは?という意見だったが、義母は私を理解してくれて治療せずに帰国できた。

日本での3歳児健診では治療しなくても大丈夫と言われ、アメリカでむし歯の進行を遅らせるとして勧められたMIペースト(ブラッシングした後に塗る再石灰化を促す成分を含む製品)使い続けていいと言われたが、小さな体に薬剤が与える影響に不安を感じたので、かつて産院で見た本を手掛かりに検診専門の歯科医師を探し受診。そこでも授乳中の前歯の初期のむし歯は治療不要と言われ、削る治療に対する自分の疑問を肯定してもらえたと嬉しかった。授乳に関しては本人が納得いくまで吸わせてあげようと思っていたので、4歳の夏まで飲ませていた。歯磨きは丁寧にしていたつもりだったが、5歳になって奥歯にもむし歯が見つかり麻酔なしで、ドリルで削って治療した。その時の経験からか娘は歯磨きを嫌がらなくなった。

娘は歯の生え始めは普通だったが、5歳2カ月で、下の前歯が2本ぐらつき始めた。シュタイナー教育では子どもの成長を7歳ごとに区切っていて、歯が抜け変わるまでを体の基礎が作られる第1七年期としているので、ちょっと成熟が早すぎるのではと不安になった。環境ホルモンの影響なども考えたが、幼稚園のママ友が紹介してくれたシュタイナー理論にも精通した歯科医を受診して、コミュニケーション能力の高い子は歯の生え変わりも早いと説明を受け安心した。

娘の幼稚園は、決まったことをやらせるのではなく、それぞれの子どもの身体発達に応じて本人がやりたいことをやらせるという、自主性を重んじる教育方針を取っている。科学の進歩、文明の利器で生活環境は大きく変わっているが、子どもは100年前と変わらないからだをしているのだから、根本のところを大切にしたい。歯科医療も歯にいいことだけを考えるのでなく、その子のからだ全体を考えた医療であってほしい。