エリカ
(女子高生)

マコ先生、部活で使うマウスガードについて、相談に乗ってくれますか?

ちょうど歯科医のタケシ先生がいらっしゃるから、一緒に聞いてみましょう!

マコ先生
(養護教諭)

エリカちゃん、こんにちは。
マウスガードについて知りたいのかい?

タケシ先生
(歯科医師)
エリカ

はい!最近マウスガードが合わないのかなーって思うんです。

そうかー。それじゃあ少し専門的な話もあるけど、よく聞いてね!
まずはマウスガードをなぜ使用するのかというと...

タケシ先生

マウスガードを使用する目的と効果

スポーツに親しむことによって、体力の向上はもちろん、爽快感、達成感、周囲との連携感などが生まれ、ストレスの発散、生活習慣病などの予防にもなり、心身両面におけるその効果は計り知れず、健康の維持増進に欠かせないよね。
だけど、運動中に起こる外傷はどんなに注意をしていても避けることは難しい、頸部、四肢などの骨の外傷は、トレーニングにより筋肉を鍛えることによりある程度は軽減できると考えらるけど、同じ硬組織でも歯に対しては何かを鍛えることでの効果は期待できない。そのため歯の破折などの予防のためには、適正なマウスガード(図)の使用が大きな役割を果たすんだ。

エリカ

なるほど...

もう少し詳しいことを言うと...

タケシ先生

マウスガードの目的・効果の主なものとしては、

  • ①直接外力(野球のボール、他の選手の肘などが当たることなど)により起こる選手自身の舌、歯、顎骨などの外傷の予防・範囲、症状の軽減
  • ②対戦相手や味方選手の歯との衝突(サッカーのヘッディングやバスケットボールのシュートなどのジャンプ後の着地時などに多く見られ、歯が凶器となってしまうケース)による頭部、顔面、目などに対する外傷の予防・軽減
  • ③スポーツ中の強い噛みしめ(スポーツクレンチング)による歯の咬耗(すり減り)、歯の破折などの予防・軽減
  • ④下顎への外力に対する顎関節の保護
  • ⑤未だに議論の余地は残るとされていますが、脳震盪に対する効果。特に、頭部に対する直接的な外力により起こるものではなく、顎先や胴体への衝撃(間接的な外力)によって生じる頭部への回転加速度による脳震盪に対する効果。噛みしめることによって頸部の筋の活動性も上がるためこのような効果が期待される
  • ⑥経済的な効果。外傷を受けた歯は、当然ではあるが何らかの治療が必要になります。この初期の費用もさることながら、生涯にわたる治療が必要になることも少なくないため、マウスガードの使用による外傷の予防・軽減が必要

このように、マウスガードには様々な効果がありますので、コンタクトスポーツや格闘技はもとより、ノンコンタクトスポーツやトレーニング時でも、多くの選手、運動愛好家、学校スポーツを行う学生さんも使用することが望ましいんだ。
日々の絶え間ない努力によって得られた貴重な運動能力を、歯科的な問題で発揮できなくなることが無いように正しいマウスガードを使うことが大事なんだね。

エリカ

先生、よくわかりました。マウスガードって本当に大事なんですね!

もっと詳しく知りたいかい?

タケシ先生
エリカ

はい、先生!
もっと詳しく知りたいです!

おー!!エリカちゃんは勉強熱心だね!
それじゃあ、マウスガードの種類と使用する種目について話をしよう。

タケシ先生

マウスガードの種類と使用する種目

マウスガードの種類としては、以下の3種があります。

  • ①選手がスポーツ用品店などで購入し、お湯などを使って軟化し歯に合わせるカスタムフィットタイプ
  • ②歯科医が診査、型どりなどに関わらずに、インターネットなどを通じて企業などによって製作されるタイプ
  • ③歯科医師が、選手の参加する種目、レベル、口腔内などを考慮して、設計し、型どりして製作した選手自身の歯列模型上に、マウスガード材を軟化成形する機器を用いて圧接、製作し、咬合調整(噛み合わせの調整)などが適切に行われるカスタムメイドタイプ
エリカ

ふーん

①の選手が自分で製作するタイプは比較的安価ですが、噛み合わせ、適合性、維持力、装着感に問題があり、呼吸や発音がしにくいなどマウスガードとしては適切ではないと考えます。

  • 選手自身が作るタイプは、下の歯の圧痕が強く残っており、頭が傾いたときなどに噛み合わせが不安定となります。また、部位により薄くなってしまいます。

  • 歯科医が関与していないので噛み合わせの調節が行えません。また厚みの不均一が目立ちます。

②のタイプの多くは模型上で製作されているため適合等には問題ないことが多いようでが、このタイプもカスタムフィットタイプ同様適正な噛み合わせを付与することができないため、前歯部の破折や顎骨の骨折などの危険性をはらんでいます。また、歯科医が診察をしていないことなど違法性が指摘されています。

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タケシ先生

③の歯科医師が診察し、歯科医師あるいは歯科技工士により適切に製作され、口腔内で調整されるカスタムメイドタイプは、適正な噛み合わせを付与することができ、適合性に優れ、違和感が少なく、発音し易い、種目、選手の口腔内に適した設計ができるなど多くの利点を有しており、当然ながらカスタムメイドマウスガードの使用が望まれます。

  • カスタムメイドは、歯科医により口腔内にて噛み合わせの調整が適切になされるため安全性が高く、しっかり噛みしめることもできます。

  • 選手が合わせたもの

  • 歯科技工士が作ったカスタムメイドタイプ

選手が合わせたものと歯科医あるいは歯科技工士が作ったカスタムメイドタイプは、明らかに歯の形のラインの出方が違います。また、aの内側の部分には余分な部分が多く装着感を妨げます。

エリカ

だから私のマウスガードが合わないのかしら?

そして、カスタムメイドマウスガードには、幾つかの種類がありその代表的なものとしては、

  • 一枚のマウスガードシートを用い、成型機でサーモフォーミングし製作される基本的な普及タイプに適した1枚法マウスガード

  • 改良型一枚法マウスガード(前歯部開咬などのケースで、事前にその部位にマウスガード材を付与しておき、全歯列の咬合を図るタイプ)

  • マウスガードシート2枚あるいは3枚を加圧タイプの成型機で層状に張り合わせるラミネートタイプ

  • 外傷の多い前歯部、治療が施されている前歯などの部分に、中間層として固い材料(最新の材料として光重合型が市販されています)を挿入し、かつ歯面とマウスガードの間に緩衝層を持たせた構造のハード&スペースマウスガード

エリカ

わー!たくさんあるんですね。
どれを選べばよいのかわかりません。

日本で、マウスガードの使用が完全義務化、あるいは年齢、性別などによって一部義務化されている種目は、ボクシング、キックボクシング、総合格闘技、アメリカンフットボール、ラクロス、テコンドー、空手、ラグビー、アイスホッケー、ホッケー、インラインホッケーなどがあり、硬式野球、バスケットボール、ハンドボール、モーターバイク、柔道などは装着許可・推奨のある競技と言われています。

徐々にではあるけど、マウスガードの効果、重要性が社会に認知されてきました。
歯科医が製作に関与した適切なカスタムメイドタイプマウスガードを使用して、顎口腔系のスポーツ外傷を予防しながら、思いっきりスポーツを楽しんでください。

エリカ

先生、ありがとうございました。
どこで買えますか?

まずは、かかりつけの歯医者さんに相談してごらん。一番良い方法を一緒に考えてくれると思うよ。

タケシ先生
エリカ

はーい!相談してみます。

ぺスカ

オイラもマウスガード欲しいぞ

通常は動物にマウスガードは不要だよ!

タケシ先生
ケンタロウ

そうだね。やたらに人を噛まないようにぺスカもマウスガード必要かも